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長時間労働の上限規制について

2023年11月27日11:13 AM

大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から働き方改革の一環として時間外労働の上限規制が施行されました。上限規制の時間は月45時間、年360時間で、臨時的な特別な事情がある場合でも、単月で100時間未満、複数月平均80時間以内、年720時間以内に収める必要があります。

一方で、建設業や自動車運転業、医療業では、時間外労働の上限規制の適用までに5年の猶予期間が設けられ、2024年4月からの適用となっています。こうした業種に猶予期間が設けられた背景には、長時間労働、休日出勤、人手不足という問題を早急に解決することが難しいと判断されたことがあります。

例えば、建設業界全体の労務課題としては、まさに「長時間労働」と「人員不足」が挙げられます。実際に、厚生労働省の2022年度の毎月勤労統計調査によると、建設業の1ヶ月あたりの総実労働時間は167.1時間と最も長時間であり、調査対象となっている全産業の平均137.3時間と比較して30時間も長い結果となっています。さらに、4週8休が充分に実施されていない傾向もあり、全体の約5割の工事が4週4休で動いているような状況です。

こうしていよいよ来年度から、全ての企業において働き方改革の法制が進み、時間外労働の上限規制が適用されたとしても、このような状況が改善されるかというと、そんなに単純にいかないのが現実ではないでしょうか。ただ単に、定時退社の徹底や有給休暇の推奨を行っても、それは帳尻合わせに過ぎず、仕事のやり方はそのままで、人員も増やすことが出来なければ、当然ながら管理職や仕事ができるリーダー的社員にしわ寄せが集中し、職場に歪みが生じてしまいます。

さらに、働き方改革に従った結果、本来、より多くの実務を経験してスキルアップしていくべき若い社員が早く帰り、すでに十分実務スキルを身に付けている管理職などへの負担が増すという矛盾も起きてしまいます。そうなれば、管理職は増々タスクの処理だけに忙殺されることになり、肝心のチームマネジメントや部下の育成まで手が回らず、心身共に疲弊していくのは時間の問題となり、そうした姿を見て、これから管理職になりたいと思う下の社員がいなくなってしまうリスクも伴いかねません。

こうしたリスクを避けるためには、単純に「とりあえずなんとかしなければならない」というような考え方ではなく、もっと本質的な業務改善による効率性の向上が求められます。皆さんの職場では業務効率の改善は進められていますか。業務効率改善については、次回のブログでご紹介したいと思います。

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企業に求められる社員の健康管理について

2022年6月29日9:44 AM

一時期落ち着きを見せていたものの、ここにきて東京の感染者数が10日以上連続で前週を上回り、他の道府県でも徐々に増加傾向を見せ始めています。一方で、観測史上最短の梅雨明けと二つの高気圧により、夏至の非常に強烈な日射が容赦なく照り付け、この時期としては過去に例を見ない猛暑日が続いています。

こうした環境下で、いかに社員の健康の維持、増進に取り組んでいくかが企業には求められています。社員一人ひとりが健康で安心して仕事ができる状況であれば、それぞれの能力を十分に発揮して業務を遂行することができ、生産性や効率性が向上し業績の拡大につながります。そのためにも、社員の心身の健康の確保は企業にとってとても大事なことです。

例えば、少子高齢化が進む現代日本では、一定の年齢に達しても、本人の希望によって可能な限り仕事を続けることができる社会となってきていますが、そこには加齢によって伴う健康度の個人差によって違いが生じてしまうため、折角のキャリアやスキル、モチベーションの高いベテラン社員のパワーを長期的に活用できないという事象が起こりかねません。

また、若手の社員でも、自身の健康への意識が薄いあまり、自覚なしに無理をし続けてしまうことで予想外に心身の健康を崩しリタイアしてしまうということがあります。こうした懸念を抑止するためにも、日常的に健康管理の大切さを社員に理解、認識させるための仕組み作りが必要です。

さらに、企業には社員が安全に業務に従事できるようにするための安全配慮義務があります。定期健康診断は勿論、メンタルヘルス管理やハラスメント防止対策等を確実に実施、機能することで、社員の健康状態を経年的に把握し、必要に応じた予防や加療、改善を図っていくことが求められます。
皆さんの企業では、どのように社員の健康管理を進められていますか。

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パワーハラスメント防止措置の義務化について

2022年1月31日9:18 AM

一時期、落ち着きを見せていたコロナですが、年が明けてからデルタに代わるオミクロン株の感染が急拡大し、全国の感染者が過去最高の8万人となる事態となりました。ここにきて第6波が猛威を振るっています。専門家の中には、オミクロンによる第6波は感染力の強さに反して重症化のリスクが少なく、ピークアウトも早いのではとの意見もありますが、この急拡大の渦中ではそうした収束への期待は想像すらできない状況です。

このような状況下で、既に大企業では適用が始まっているパワーハラスメント防止措置の導入がこの4月から中小企業にも義務化されます。これにより、該当企業はトラブル等の際の従業員からの相談体制の整備や被害者への適切な対応を行うことが求められます。
ここで言われるハラスメント被害とは、上司から部下に対するパワーハラスメントやセクシャルハラスメントだけではなく、就職活動中の学生などに対する就活ハラスメントや顧客・クライアントからのクレームや暴言、著しく不当な要求などのカスタマーハラスメントも対象となります。
これを受けて厚労省では、企業向け対策マニュアルの作成や各企業の相談窓口の担当者などを対象とした研修会を展開し、パワハラ指針に盛り込まれている雇用管理上の措置義務について、実際の相談事例や対象事例を通して実務的観点から説明するとしています。

このコロナの中で、従業員の皆さんはそれぞれに様々なストレスを抱えながら従事されていることと思います。そうした従業員の心身の健康を守るためにも、ストレスチェックの実施やハラスメント防止措置等による安全な職場環境の維持形成が重要です。皆さんの職場では、どのような対応を進められていますか。

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パートタイム・有期雇用労働法の中小企業への適用について

2020年11月30日11:56 AM

コロナの影響による解雇や雇止めが7万人を超え、ここにきて感染拡大の第3波の襲来も伴い、さらに急激にその影響が増加すると思われます。このような状況下で、既に大企業では適用されていたパートタイム・有期雇用労働法が来年4月から中小企業にも適用されます。

正社員は長年年功序列等の人事制度により、企業の経営状態が悪くならない限り、所謂毎年の定期昇給等で守られてきました。一方で、非正規社員は正社員の5~6割の賃金支給が通例で、いつまでもこの状況が続くことは社会的にも大きな課題となっていました。

今回のパートタイム・有期雇用労働法の施行により、正社員、非正規社員に関係なく、どのような雇用形態であっても、待遇に納得して働き続けることができるように、労働者への待遇に関する説明や所謂同一労働同一賃金の義務化、それについての行政による事業主への助言指導が適用され、正社員と非正規社員との間で不合理な待遇の差を生じさせてはならないことになります。

これまで、多くの企業で、人件費の抑制のために非正規社員を雇用してきました。
そうした中で、これまでも非正規社員について、正社員と同一の職務で同一の勤務条件であれば、本人の業績やスキルを評価したうえで、正社員へ転換する措置等は取られてきました。

しかし、全ての社員を同一労働同一条件で雇用するということは、場合によっては、人件費の過度な増加に繋がりかねず、これは社員の基本給や手当等を減らすことなどでは抑制することはできません。
そのためには、この法律が適用されることと同時に、できればそれより前に、社の経営方針や賃金制度、評価制度を見直し、一部の職務をジョブ型に変えるなど、社内のチャレンジ力を高揚し、社員一人ひとりの生産性と効率性を向上させることが必要になります。

企業それぞれの経営状況や特殊性、専門性をもとに、早急にベストの対応策を整備することが求められています。皆さんの企業では、準備はできていますでしょうか。

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非正規社員の労働と処遇条件について

2019年2月26日4:36 PM

働き方改革関連法による同一労働同一賃金の導入で正社員中心の人事制度が見直され、政府も戦後70年以上続いた年功序列や終身雇用といった制度にメスを入れようとしています。

人手不足が深刻化している状況下で労働生産性が進まない中、残業規制等による長時間労働の抑制が先に進み、多くの企業で仕事のスピードや能率を上げるための必死の努力が行われています。

政府は肝心の正社員の労働生産性が思うように向上しない状況に、脱時間給制度を特定の職種に導入するとしていますが、これは大企業や特殊な職場に適用される制度のため限度があり、広く採用されるものではありません。

このような状況の中で非正規社員を全社的にまとめて正規社員にする企業もあり、これからは高い職種スキルを持った仕事のスピードや能率の高い非正規社員をはじめとして、多くの非正規社員が正規社員に転換し、一方で年功序列や終身雇用のような処遇のままの現状の正規社員の雇用スタイルの見直しも進み、両者が同一労働同一賃金の基準で処遇されることで労働力の活性化が加速し、職場のトータルパワーアップの現象が生まれてくると思います。

私共はこれからの動向に先駆けて、新しい賃金体系へのシフトなど、あらゆる人事制度の課題に取り組んでいます。お気軽にご相談ください。

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正社員をもっと多様化してパワーを活かそう。

2017年11月15日5:50 PM

政府は、成長戦略として勤務地や職務内容の限定、短時間勤務等の多様化した正社員の普及を掲げています。さらに、厚生労働省の有識者懇談会でも、企業向けに多様な正社員の導入に多くの指針が示されています。

勤務地に制限のない正社員やフルタイムで常時残業が発生する正社員との処遇条件の均衡を図ることによって、正社員を多様化する道を拓くことができます。私共は、多くの企業で正社員と非正規社員の制度の違いや現状を検討し、正社員の多様化につながる対策をまとめ、企業にとっても社員にとっても納得される現状の改善に成果を上げています。

正社員の多様化を進めることは、正社員の多くのニーズや希望に応えることができ、企業にとっても利点が多く、正社員の一層のパワーの活用にもつながります。

例えば、正社員でも様々な理由で短時間勤務を希望する人たちが存在します。こうした社員には女性が多く、短時間勤務の正社員を設けることにより、これが女性社員の管理職への登用にもつながっていきます。
これには、短時間勤務の正社員と一般の正社員の人事評価で異なることのないような仕組みを構築し、短時間正社員の昇進や昇格が不当に不利にならないようにすること。さらに短時間勤務の正社員でも管理職の役割を果たすことができる仕組みを設けることが必要です。

また、多くの正社員に業務が集中し業務過多になっているような状況も、それぞれの役割や責任が多様化された正社員の存在によって、職務分担が効率化され、社員一人ひとりのモチベーションも向上し、職場のトータルパワーアップに貢献します。

勤務地限定の正社員でも管理職に登用する制度を積極的に採用する企業が増えています。
こうして勤務地の限定云々にかかわらず、本人の能力を活かすことで、人材の不足を補い社員のパワーをフルに活用しています。

皆さんの企業や職場でも正社員の多様化によって、さらに正社員や非正規社員の一層の人材の活用を促進してほしいと思います。

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有期雇用の社員の無期雇用化が始まります。

2017年8月15日9:48 AM

同一の使用者において二以上の有期契約が通算して5年を超える社員は、来年4月から契約期間を除く同一の労働条件において無期雇用の契約を申込みできるようになります。
パートなどで有期の契約で働く人は約1500万人で勤続5年を超える労働者は、約3割を占めており、2013年4月施行の労働契約法の改正において、13年4月以降の有期契約が対象です。

対象者の中には、現在働く職場で無期雇用に移ることを希望する人も多いと思います。厚生労働省の調査によると、対象者の約38%が無期雇用への転換を希望しています。
一方、企業側もこの新ルールにより、深刻な人材不足の対策のために積極的に人材の囲い込みを行う企業が大企業を中心に多くみられるようです。

この新ルールでは、期間を除く労働条件について企業側に処遇改善の義務付けはされておりませんが、積極的な人材の確保のためには、少なからず雇用条件の見直しは必要であり、働く対象者側も、この新ルールを活かして積極的な決断が必要です。

企業としては、それぞれの特性を踏まえ、現在の人的構成と将来の人材ニーズを十分に分析し総合的な対策で対処する必要があり、例えば、現在の人的構成と比較して無期雇用への転換の該当者の職務や能力要件、本人の特性。さらには、正社員化や限定的な正社員化などの雇用条件について、さまざまな可能性や対応を検討する必要があります。

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いま、採用活動が真最中です。

2017年5月31日5:09 PM

来年2018年春採用の新入社員の獲得に向けて、求人活動が多くの企業で盛んに行われています。今年はさらに売り手市場で、学生側は選択の対象を拡げ、多くの企業へ就活を行っています。
一方で、その求人を行う側の企業はどのように考え、どのように求人活動を行っているのでしょうか。

これから益々、人手不足が深刻化していきます。その中で業種業態に限らず、どの企業も経営を改善し、さらに将来に向かって成長発展をしていかなければならないはずです。このために、どのような人材を求めていくのか。そのための戦略や求人活動をもっと変えていかなければならないと思います。

採用の目標が部門部署からのニーズの積み上げだけの場合、毎年同じような人材を求める活動になってしまい、同じ学校へ同じような方法でアプローチすることとなり、その改善はほぼ行われません。
例えば、学生の選別方法について、成績や部活動の内容などをもとに毎回同じ担当者が面接しているような状況であれば、結局、毎年同じような学生が採用されることが繰り返されがちになります。

その改善のためには、今までの採用目標や方法手段を根本的に変えて新しい発想と方法で取り組むことが必要です。視野が広く、粘り強く取り組み、常にチャレンジし、新しい発想や工夫を創出できる人材を求めるならば、企業側も発想を変え、その方法や採用担当者も変えて取り組むことです。

さらに言えば、採用活動は採用するだけで終わりというわけではなく、採用した新入社員をどのような職場で、どのようなフィールドで、どのように育てていくかのビジョンが必要です。そうしたビジョンを採用目標に取り入れて、部門部署に配属したあともフォローしていくことが不可欠です。

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